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藤原吉弘

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エッセー

グラウンド・ゴルフと私の“世間”

藤原吉弘                                   投稿日2011/12/28


ハイビスカス

 とにかく面白い。水曜日が終わると土曜日が、土曜日が過ぎると次の水曜日が待ち遠しい。朝起きて、晴れていて喜び、降っていてがっかりする生活がもう7カ月も続いている。
 グラウンド・ゴルフを始めたころ、ティーショットが当然のようにショートしていた。草木の伸び盛りの時期だったということもあるが、そうでなくても草の抵抗に負け、どうしてもそれを克服できなかったのだ。あるとき、当てるだけでなく、フォロースルーをとらなければだめだということに気がついた。
 ある朝、トイレの中で「今日はフォロースルーに徹底的にこだわってみよう」と考えた。実際、その日はそれだけに集中できた。結果は、5発もホールインワンが出た。しかし、その後は、ゴルフのフィーリングとグラウンド・ゴルフのイメージが交錯し、相互に深刻な悪影響を及ぼしていまも苦闘している。
 グラウンド・ゴルフは、高齢者向けスポーツの一環として、1982年に鳥取県の泊村(現湯梨浜町)で考案された。ゴルフのパッティングがベースになった屋外個人競技である。スタート地点から直径6㎝の硬いボールを大きなパターで打ち出し、カップイン(正式にはトマリと呼ぶ)までの打数を競う。
 1ラウンドは、距離で50m、30m、25m、それに15mの4種類、それらが2つずつ、計8つのホールで構成されている。基準打数はいずれもパー3、1ラウンド合計でパー24となる。打ち出し地点には高さ1.5㎝のティーのついたスタートマットが、目標地点にはポールの立てられた外径36㎝のリングが置かれている。ボールがそのリングの中に入ればトマリである。
 私たちのホームグラウンドは、縦横各70m、面積5千㎡弱、市の管理する“少年野球場”である。内野部分は土、外野のあたりは草原になっている。ホールごとにグラウンドの状態が異なり、ボールの転がり具合は目まぐるしく変わる。草の株や石ころによるイレギュラーバウンドも多く、運が結果を大きく左右する。しかし、その分複雑さが加わり、奥深さと面白味が増す。
 私たちのクラブのメンバーは55名、各回の参加者は40名弱である。1チーム男女混合で5~6名編成、途中1回の休憩をはさんで4ラウンド、約2時間半のプレーを楽しんでいる。費用は会費の月100円のみ、グラウンドまでは遠い人でも徒歩10分、オープンな雰囲気で誰でも気楽に参加できる。
 グラウンド・ゴルフでは、経験に裏打ちされた技術と集中力は要求されるが、体力やパワーはほとんど影響がない。ご近所の人たちと、年齢、性別に関係なく和気あいあいと楽しむことができる。遠くにしかいなかった友達が、近所にたくさんできた。私の世間は、ドーナツ型からアンパン型に進化した。
 (2011年12月26日 藤原吉弘)

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