昭和初期幼い頃の思い出
横撫には避病院があって親戚の患者を訪ねて見舞いに行った。
ずっと砂浜伝いに本浦中心部へ行くと尾ひれを浮かべてチヌが泳いでいる。手の届くほど近い。
どこの浜辺でもチヌの投げ釣りが見られた。波止の先では小魚が良く釣れる。
さて一歩丘に上がればこれまた店々。
縦横何でも来い。さすがかむろ町、かむろ千軒だ。
せんべい屋 焼餅屋 ちょうちん屋 豆腐屋 風呂屋 鉄工所 傘屋 呉服屋 スジ屋 釣屋 等々。
どの道筋も商店だから家室に行けば何でもあると向かいの佐連の人達は言ってた。
話変わって、洲鼻の磯伝いで少し行くとポッカリ大岩が浮かんでいる。 その真ん中に一本の松が直立しているのである。 これを「かむろの一本松」として当分有名であった。