洲崎と本浦の分岐点である
このトンネル内の両サイドの壁に
彫られた穴の中に石の地蔵さんが
数か所祭られローソク線香の
火が絶えなかった。
この地蔵様をお守りする愛想の
よいお婆様が本浦側のすぐ側に
住んでいた。小さな家、畠も少しあった。
“松の下のお婆さん”と呼ばれていた。
“艱難(かんなん)汝(なんじ)を玉(たま)にする” 困苦に堪えて
前進せよ。 子供達への教訓である。
婆様がひき合いになる。
松の下のお婆さま蜂に
ブンブン刺されて痛いとも
よう言わず、
泣く泣く
こらえた。
それにひきかえ黙って
こらえる
ひどいこの世の中
ああ一体全体
どうなるんでえ!!